月謝が安いことを理由にボイストレーニング教室を選んではいけない理由

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伊藤 俊輔

京都大学法学部卒。解剖学・音声学等の科学的根拠に基づいた論理的な指導が支持され、これまで70を超える企業・大学・団体に対し、ボイストレーニング講座を実施。受講者は3,000人を超える。

どんな商品やサービスでも、どんな情報でも、より安く手に入るには越したことはない――。大切なお金を対価として支払う以上、そのように考えるのはごく自然、きわめて当たり前のことです。ボイストレーニングの教室選びにしても、それは同じでしょう。

しかし、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。「月謝が安いから」という理由だけであなたが選ぼうとしているその教室、本当に大丈夫ですか?

よく知られたことわざに、「安物買いの銭失い」という言葉があります。値段が安いものを買った結果、悪い品質のせいで、得をするどころかかえって修理や買い替えにお金がかかり、損をしてしまう場合があるから気をつけなくてはならない、という意味の言葉です。

たしかに、「高いお金を出しさえすれば必ず良いものが得られる」とまで言うことはできません。しかし、安いにせよ高いにせよ、価格設定にはそれなりの理由があるものです。そうである以上、ボイストレーニング教室を月謝の安さだけで選ぶことは、長期的に見て損であるどころか危険ですらありうると言わざるを得ません。

この記事では、1) なぜ月謝が安いことを理由にボイストレーニング教室を選んではいけないのかをご説明したうえで、2) 正しいボイストレーニング教室の選び方をお伝えしていきます。

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目次

1.ボイストレーナーには3種類いる

ボイストレーナーといえば声のプロフェッショナル、声に関するどんな悩みも解決してくれる専門家、というイメージがあるでしょう。しかし残念ながら、必ずしもすべてのボイストレーナーがそのような頼もしい指導者とは限らないのが実情です。

いわば、世の中には3種類のボイストレーナーが存在するのです。

すなわち、

  • 声を悪くしてしまうボイストレーナー
  • 声を悪くはしないが良くもできないボイストレーナー
  • 声を良くしてくれるボイストレーナー

の3種類です。

そうです。

信じられないことかもしれませんが、世の中には教え子の声を良くするどころか悪くしてしまうボイストレーナーさえ存在するのです。

声というのは実にデリケートなものです。扱いには細心の注意が必要ですし、あまり乱暴に用いつづければ、いずれ再起不能なほど壊れてしまう場合さえあります。

ましてや、その改善指導となれば一筋縄ではいきません。トレーニング方法はもちろん、解剖学から生体力学、音声学、音響学、心理学に至るまで、実に多岐にわたる分野の専門知識が必須であり、それらを抜きにして有効な指導を行なうのはほとんど不可能といえます。

そして、これらの知識の習得にも、当然のことそれ相応の時間やお金が必要になります。最先端の知見や、本やインターネットでは拾いきれない情報ともなれば、よりいっそう高いコストを支払う必要が生じてきます。

本当の意味で声を良くしてくれるボイストレーナーたちは、指導力向上に必要な知識を得るために、きちんと時間やお金を割いているのです。そして、それらの学びを生徒に還元するために、自らを成長させるべく日々努力しているのです。

すべてのボイストレーナーがこのように熱心な指導者であれば、何も問題はないでしょう。

しかし、必ずしもすべてのトレーナーがこうした自己投資を行ない、指導に必要な素養を十分培えているわけではないからこそ問題なのです。安いレッスン料を売りにむやみに生徒を集め、指導そのものに時間を費やしすぎている、あるいは講師業を本業ではなく副業として行なっているなどの背景から、指導力強化に手が回っていないトレーナーは決して少なくありません。そして、運悪く指導力を欠いたトレーナーにあたってしまった人は、声を改善するどころか、最悪の場合いっそう悪くしてしまう場合すらあるのです。

自己投資をみっちり行なおうと思えば、そのためのリソースは必然的にレッスン料からまかなうことになります。本当に指導力のあるトレーナーの月謝が高くならざるを得ないのは、まさしくそれが、指導をより良質なものにする投資の元手となるからなのです。あまりに安い月謝は、トレーナー自身が学ぶ姿勢を欠いていることの表れかもしれない――。そう考えると、レッスン料だけに着目して教室を選ぶのが怖くなってきませんか?

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2.5000円×月2回=10000円×月1回か?

世の中には、声を良くしてくれるボイストレーナーとそうでないボイストレーナーがいる――。この事実から言えるのは、ボイストレーニング教室の良し悪しをコストパフォーマンスで語ることは難しいということです。

ボールペンで考えてみましょう。とても高価だけれど大切に使えば長持ちするボールペンと、安いけれど数週間もすれば書けなくなってしまうボールペンがあるとします。

どちらを買うか考えるとき、皆さんはコストパフォーマンスを一つの基準にできるでしょう。つまり、ボールペンを普段からよく使うし物持ちもいい、という人であれば、高いボールペンでも金額に見合った満足を得られるでしょう。逆に、ちょっとした書き物のためにペンが至急必要だ、というだけならば、安くて粗悪なボールペンでも十分事足ります。これはなぜかといえば、いずれのペンも「書く」という最低限必要な機能はきちんと備えているからです。

しかし、ボイストレーニング教室の場合はどうでしょう?レッスン1回5000円、しかし効果はイマイチという教室と、1回10000円もするけれど、きちんと発声を改善してくれる教室という2つについて、先ほどと同じような比較ができるでしょうか?

答えは明らかです。

そう、イマイチなレッスンを月2回受けるために10000円支払うより、効果のあるレッスンに月1回10000円支払うほうが確実に経済的なのです。なぜかといえば、0に何をかけても0であるように、そもそも効果のないレッスンにどれだけお金を費やしたところで、得られるものが何もないからです。

月謝だけではありません。

受講の頻度が高くなればなるだけ、レッスンを受ける時間も、教室通いにかかる交通費移動時間もかさんでいきます。効果がないレッスンを安いという理由だけで選んでしまったばっかりに、トータルで見るとかえって時間やお金を浪費している、なんて事態もありうるのです。そのうえ声も改善されないとなれば、これほど悔しい話もないと思いませんか?

実際、5年以上もボイストレーニングに通っているのにあまり効果を感じられていなかったという人が、優秀な先生に師事しはじめた途端にめきめき成長しはじめる、なんて事例もざらにあります。月謝の安さだけで教室を選ぶことのリスクが、多少なりともおわかりいただけるのではないでしょうか?

3.後悔のないボイストレーニング教室選びのために

このように、月謝だけを基準にボイストレーニング教室選びをしてしまうと、長い目で見て得をするどころか損をしてしまうおそれさえあります。

では、後悔のない教室選びをするためには、何に注目すべきか。それは、自分がボイストレーニングに期待している成果と教室の指導スタイルが合致しているか、すなわち目的に合った指導が得られるかどうかです。

逆にいえば、目的に合ってさえいれば、月謝の安さを基準に教室を選んでかまわない場合もあるのです。

たとえば、

  • 特に発声に悩んでいるわけではなく、表現の仕方を指導してほしい
  • 単に歌う場がほしい

といった人であれば、月謝の安さに着目してもさほど問題はないでしょう。

歌い方の指導には、発声指導に求められるほどの高度な専門知識は不要ですし、たとえ副業であっても、歌が上手ければ効果的な指導は十分可能だからです。

また、大手のスクールは発表会などの催しが充実しています。歌う場がほしい、場慣れのために教室を利用したいといった人は、月謝の安い大手のスクールも選択肢として考えてよいでしょう。

一方、声の出し方で本気で悩んでいる人は、ボイストレーニング教室を月謝の安さで選ぶべきではありません。このようなケースで重要なのは、時間単価ではなく断然レッスンの質であり、専門知識に基づいた指導がなされているかどうかです。こうした方々には、たとえ月謝が高いとしても、一度レッスンを受けてみて講師の質を吟味することを強くおすすめします。長い目で見てどちらが自分のためになるか、見極める姿勢をぜひ持ってみてください。

4.おわりに

一口にボイストレーニング教室といっても、その質や指導スタイルはまさに千差万別です。そしてその中には、必ずしも本当に声を良くしてくれるわけではない、質の悪い教室さえ存在します。残念なことではありますが、これは確固とした事実です。

しかし、その一方で、声で悩み苦しむ人を救うべく、日々本気で研究を重ねるトレーナーも存在します。そのぶん決して月謝は安くないかもしれませんが、彼らはレッスン料以上のものを生徒に還元しようと、惜しみない努力に励んでいるのです。本当に声を良くしたいと思ったとき、はたしてどちらを頼るべきか――答えは明らかではでしょうか?

教室選びを行なうときは、この記事で申し上げたことを、ぜひ念頭に置いてみてください。そして、声でお悩みの皆さんが、少しでも時間やお金を浪費することなく、ご自身にとって本当に望ましい成果を得られる選択をできるよう、心から願っています。

P.S. LogiVoの体験レッスンでは、あなたの声を解剖学・音声学等の科学的知見に基づいて診断し、具体的な解決方法をご提案しています。ぜひ一度、詳細をチェックしてみてください。

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※本記事の構成・執筆にあたっては、東大文学部を卒業後、出版社勤務を経てライター等として活動中の山口真幸氏(note: https://note.com/chimakiiiiiii / Twitter: https://twitter.com/chimakiiiiiii)にご協力をいただきました。

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