声が小さい人でも大きな声が出せる「常識破り」な3つの方法
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伊藤 俊輔

「お腹から声を出して」「頭に響かせて」といった感覚的なものではなく、解剖学等の根拠に基づいた、論理的かつ具体的でわかりやすい指導をモットーとする京都大学法学部卒のボイストレーナー
  • 声が小さくてカラオケで気持ちよく歌えない
  • 仕事で何度も聞き返される
  • 居酒屋で店員さんを呼んでも気づいてもらえない

こんなお悩みはありませんか?

ちなみに私はというと、居酒屋で店員さんを呼んで、気づいてもらえなかったことはほとんどありません。(そういう理由で居酒屋ではいつも店員さんを呼ぶ係に指名されます(笑))

また、もちろん歌についても、その声の大きさに驚かれることが多々あります。

そういうわけで、「肺活量が多いんですか?」とか、「腹筋を鍛えているんですか?」なんて聞かれることもしばしば。
声量を上げる方法というと、「肺活量を増やす」、「腹筋を鍛える」といったトレーニングが常識になっているようです。
でもそのたびに私は、肺活量や腹筋と声量はあまり関係ないんだけどな…と思っています。

そこでこの記事では、こういった常識を覆す、全く異なるトレーニングをご提案します。
それは、「常識破りな」、しかしながら論理的な方法です。
ぜひ最後までお付き合いください。

1.そもそも声の大きさは何で決まる?

まずは声の出る仕組みから考えていきましょう。
のどの中には、声帯という二枚の向かい合うひだがあり、呼吸時には開き、発声時には閉じています。
この閉じた声帯の間を息が通ることにより、声帯が振動し、声が作られます。
そして、その声が、のどや口、鼻の空間に響くことによって大きさを増し、私たちの耳に届きます。

したがって、声の大きさとは、声帯響きの3つの要素によって決定されると考えられます。
今回は、この3つの要素のうち、息と声帯の関係から、声の大きさについて考えていきます。(響きについては、またの機会に解説します。)

2.肺活量や腹筋よりも声帯の閉鎖力が重要

2-1.大きな声には肺活量が必要か?

「大きな声が出ない原因は、肺活量が足りないからだ」と思っていらっしゃる方が多いと思います。

確かに肺活量が多いことは、大きな声を出す上で有利だと言えます。
でも実際に声の大きい人が、誰でも特別に肺活量が多いわけではありません。

ボイストレーニングのレッスンをしていると、小さな身体で肺活量が少ないと思われる生徒がとても大きな声を出している場面にたびたび遭遇します。
反対に、大きな身体で明らかに肺活量が多そうなのに声が小さいという生徒もいます。

また、今の二倍の大きさの声を出したいからと言って、肺活量を二倍にするというようなことは非現実的であると容易に想像がつくはずです。
したがって、大きな声を出すためには、息の量以外の要素があると考えるのが自然ではないでしょうか?

試しに、あなたが声量があると思っている歌手のライブ映像を見て、どれくらい息を吸っているか、今一度確認してみてください。
おそらく、多くの歌手が、実はそんなにたくさん息を吸っていないということに気が付くでしょう。(もし、毎回たくさん息を吸っているとしたら、その歌手は発声的には未熟ということになります。)

歌を歌うときは、表現の一部として、わざと大きく息を吸うことはあります。
しかし、基本的には曲のリズムに乗れるよう、素早く、最低限の息の量しか吸わないのが一般的なのです。

2-2.大きな声には力強い腹筋が必要か?

「大きな声が出ない原因は、腹筋が足りないからだ」と思っていらっしゃる方も多いと思います。
皆さんも一度は「歌には腹筋を鍛えることが必要」などの話を聞いたことがありませんか?
実際に多くの歌唱指導の現場でこのような教育がされています。

仮に声の大きさが、腹筋の強さに比例するとしたら、理論上ボディービルダーが一番声が大きいということになります。
しかし、現実には、ボディービルダーの人でも声が小さい人もいれば、腹筋が弱い人でも信じられないくらい大きな声量を出すことができる人もいます

確かに、腹筋があると、息の圧力を高めるのに有利です。しかし、声量を決める要素は腹筋だけではないのです。

(事実、私は恥ずかしながらお腹はぽよんぽよん(笑)で、腹筋は連続10回くらいしかできませんが、人並み外れた声量を持っています)

2-3.大きな声を出すためには、息を効率よく声に変えることが重要

では、肺活量もそれほど多くなく、腹筋も平均的な人が、なぜ大きな声を出すことができるのでしょうか。

それは彼らが、息を効率よく声に変えることができできているからなのです。
そして、その効率には声帯の閉鎖力が関係しています。声帯の閉鎖力とは息を受け止める力のことです。

つまり彼らは、声帯で息をしっかりと受け止めることで、効率的に息を声に変えることができ、その結果、大きな声が出せているのです。

逆に言えば、あなたが仮に肺活量を増やすことに成功したとしても、また、腹筋を鍛えて今まで以上に息の圧力を高めることができたとしても、声帯で息をしっかり受け止めることができなければ、息漏れの多い声になるだけなのです。

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3.声帯の閉鎖力を高める方法

では、ここからは声帯の閉鎖力を高めることのできる簡単なトレーニングを紹介していきます。

3-1.地声らしい地声で声帯の閉鎖力を鍛える

特に女声に多いのですが、地声で話しているつもりでも、裏声混じりの柔らかい地声になっている方がいらっしゃいます。
このような状態では、いざ張りのある力強い声を出そうとしても、筋力が足りず声帯を上手く閉鎖することができません。

しっかりと声帯を閉じた「地声らしい地声 」で話す習慣を身につければ、日常生活の中でも、声帯を閉じる筋肉が鍛えられていきます

地声らしい地声の出し方については、【チェストボイス】誰でも力強い地声で歌える3つのコツ!!をご覧ください。

3-2.笑い声で声帯の閉鎖力を鍛える

ここでいう笑い声とは、『くすり』と笑うような感じではなく、こんな感じの笑い声です。

『ワッハッハ』と大笑いすると、その瞬間、声帯は力強く閉じてくれます
大笑いする人って声の大きい人が多いよな~なんて思いませんか?実はそこにも因果関係があるのです。
大笑いする人は日常生活の中で、声帯閉鎖力を鍛えているんですね。

大人になると大声で笑うことが少なくなってきますが、そうすると声帯の閉鎖力も落ち、声が小さくなってしまいます。
日頃から積極的に声を出して笑うようにしましょう

3-3.ショップ店員さんのモノマネで声帯の閉鎖力を鍛える

街中を歩いていると、色々なお店から『いらっしゃいませー』と声が聞こえてきて、『よく通る声だな~』と思ったことがありませんか?

実はあの声にも大きな声の秘密が隠されています。
よく通る声の店員さんを観察すると、実は多くの方が、平べったい声で発声しているのです。
こんな感じの声です。

このショップ店員さん特有の平べったい声には、声帯を閉鎖する筋肉が働きやすいという特徴があります
平べったい声を練習すると、声帯を閉鎖する筋肉が使われて、だんだん大きな声が出せるようになっていきます。

4.まとめ

いかがでしたか?
そんな方法で本当に声が大きくなるの?と、まだ疑問に思う人も多いでしょう。

それもそのはず、なぜならこの方法は、現在の常識ではないからです。
皆さんがこれまで一度も聞いたことのない「常識破りな」考え方だったからです。

しかしながら、今一度考えてみれば、これまで一般的に言われてきた声を大きく出すための常識は、果たして本当に説得力のある論理的なものでしょうか?

私はこれまでの常識にとらわれずに、ある意味で「常識破り」であったとしても、「論理的」に声をとらえ、考えることが大切だと思います。

また、実際に、私の元に通う生徒さんたちの中にも、この方法で声量がアップし、満足いただいている方がたくさんいます。
そんな経験を、私はより多くの皆さんに実感してもらいたいと、心から思います。

この「常識破りな」考え方が、いつか皆さんにとって「常識」になる日が来ることを願っています。

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コメント一覧
  1. 大村 より:

    伊藤先生、こんにちは!
    私は古典民謡音楽を習ってるのですが、声が細くて小さく、太く大きい声を出すためにはと悩み、先生のブログへ辿り着きました。息を大きく吸っても腹筋を鍛えてもなかなか結果には結びつかなかったのですが、声帯の閉鎖力を鍛える方法を少し実践しただけで太くきれいな地声が出せるようになりました。
    質問なのですが、声帯の閉鎖力を鍛える方法を1日どのくらいすれば効果的でしょうか?

    • 伊藤 俊輔 より:

      大村様

      コメントありがとうございます。
      お悩みの改善にお役に立てたようでとても嬉しく思います。
      練習時間については、たくさん練習していただけば、その分効果が出るのですが、例えば週一回1時間やるよりも、一回3分程度の練習を毎日継続していただく方が効果が出やすいと思います。
      なお、正しく練習できていれば問題はないはずですが、万が一喉に違和感が出た場合などには、毎日練習するということにこだわらず、十分喉を休ませるようにしてください。

      • 大村 より:

        伊藤先生、お返事ありがとうございます♪
        3分程度なら継続出来そうです。頑張ります!
        本当に感謝しております(*^^*)

  2. ボイトレ難民 より:

    声が小さいことで悩んでいます。
    閉鎖力を鍛えるということでしたが、『ワッハッハ』と大笑したり、店員さん特有の平たい声を出したりするのではなく、エッジボイスのみでも閉鎖力を鍛えることは可能でしょうか?

    • 伊藤 俊輔 より:

      エッジボイス単独ではなく、エッジボイスから地声に持ち上げるようにすると張りのある地声が出るようになります。エッジボイスは力を入れすぎないように注意してください。

    • 柏木 より:

      中1から通る声や大きい声が出しづらくて困っています。先生のブログの通りに、練習していこうと思うのですが、練習何日目で効果は出ますか?
      また、大きな声で喋ろうとすると喉声になってしまい、普段自分が喋っている声と違う感じになってしまいます。喋っていてつかれないようにする方法も教えてください。

      長文失礼しました。

      • 伊藤 俊輔 より:

        柏木様

        コメントありがとうございます。
        現在の状況にもよりますので、一概に何日目とは言えないのですが、まずは2週間ほどやってみて効果が感じられないようでしたら、やり方が間違っているか、その練習が柏木様の声が出づらい原因にマッチしていないと考えてよいと思います。
        大きな声でしゃべろうとすると喉声になってしまうとのことですが、一般的には声を前に押し出そうとしていると考えられます。
        ただ単にたくさん吐こうとするのではなく、肺に入った空気をできるだけためておくつもりで、息を吐くことが重要です。
        ご自身でも確認できる方法としては、大きな声を出す際に大きくお腹がへこんでいたら間違いです。大きな声を出す際にお腹はへこみません。

        • 柏木 より:

          返信ありがとうございます!
          先生のおっしゃる通り、まずは2週間練習して、様子を見たいと思います。
          人がたくさんいるところでは、自分の声が通りにくく、困っていたので本当に助かります!何かあったらまた、相談に乗らせてください!

          • 伊藤 俊輔 より:

            はい、引き続き練習がんばってください。

          • みのむし より:

            こんにちは!
            高2からミックスボイス練習して1年たったんですが、ミックスが裏声と比べて全然声量が出ません。これは喉が閉まっているということでしょうか???また、ちょくちょくミックスにガラガラ声が入ったり、裏返ったりします。改善点をおしえてください!

          • 伊藤 俊輔 より:

            みのむし様

            コメントありがとうございます。
            ミックスボイスにガラガラ声が入ったり、裏返ったりするということですので、のどが締まっていると判断できます。
            みのむしさんがどうかはわかりませんが、これは無理に声帯の閉鎖を強めようとした場合によく起こるケースです。

            まずは、のどの締まっていない地声と、のどの締まっていない裏声を出せるようにし、それをつなげる練習をしてください。
            その上で、GやBなど、声帯閉鎖の強まりやすい子音を使い、「間接的に」声帯閉鎖が強まるように調整してみてください。

  3. 柏木 より:

    こんにちは、柏木です
    あれから練習を重ねて地声が出せるようになってきました。地声を高くするにはどうしたらいいでしょうか?また、今まで細く弱々しい声で喋っていたので、地声で喋ったときの周囲の反応が気になります。先生はどう思いますか?

  4. 伊藤 俊輔 より:

    柏木様

    体調を崩しておりまして、返信が遅くなりました。申し訳ありません。

    地声が出せるようになったとのこと、おめでとうございます。

    地声を高くする時に、1音1音地声を持ち上げていくと途中で裏返ったり詰まったりして、上手く発声できなくなるかもしれません。

    まずは地声と裏声を繋げる練習をしてください。そして上手く繋がるようになったらそれを少しずつ地声っぽくしていきます。
    GやBの子音を使って練習すると地声っぽさが出て感覚が掴みやすいです。

    周囲の反応が気になるということですが、「どうしたの?」と聞かれたら、「ボイトレやったら出るようになった」と伝えたらそれで大丈夫だと思いますよ。

    せっかく練習したのですからぜひ新しい声をどんどん使ってください。

  5. みのむし より:

    返信ありがとうございます!
    裏声と地声を繋げるのって声区融合のことですよね?色んな人の動画をみて前からずっとしているのですが、全くできません。この前喉締めが原因とわかってから調べて練習したら、すこし喉締めがなくなった気がします!喉締めを解消すれば地声と裏声をつなげるのができるようになりますか?

    • 伊藤 俊輔 より:

      声区融合のことです。
      喉締めは地声と裏声が上手くつながらない一つの要因ですので、改善すればつながる可能性は高いと思います。

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