【ご報告】リットーミュージック刊行の教則本で発声部門を執筆しました

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伊藤 俊輔

京都大学法学部卒。解剖学・音声学等の科学的根拠に基づいた論理的な指導が支持され、これまで70を超える企業・大学・団体に対し、ボイストレーニング講座を実施。受講者は3,000人を超える。

こんにちは。ボイストレーナーの伊藤俊輔です。

このたび、2026年6月23日にリットーミュージックより発売される教則本にて、「発声部門」の執筆(共著)を担当させていただくことになりました。

これまでブログやレッスンを通じて、音域の拡張、声枯れの改善、声量アップなどのお悩みに対して、歌声・話し声を問わず発声改善に関する情報を発信してきましたが、このような形で書籍制作に携わる機会をいただけたことを大変光栄に思っています。

私自身、発声指導に携わるようになってから約20年になります。その間、歌をもっと楽に歌いたい方、声が枯れやすくて悩んでいる方、人前で自信を持って話せる声を身につけたい方など、本当にさまざまな方と向き合ってきました。

今回の執筆では、そうした長年の指導経験の中で培ってきた考え方や、発声の仕組み・効率的な声の使い方について、解剖学・音声学に基づいてわかりやすく解説しています。

私が普段のレッスンや情報発信でお伝えしている内容とも共通する部分が多く、これまで積み重ねてきた経験や知識を一冊の形として残せたことを嬉しく思っています。

そこで今回は出版のご報告とあわせて、「なぜ私がこの本の執筆に携わることになったのか」、そして本書で「どのような内容を担当したのか」、また「私自身の発声に対する考え方」について少しお話ししたいと思います。

目次

なぜ今回執筆することになったのか

私が発声について深く学ぶようになったきっかけは、高校時代から始めたアカペラです。

大学に入ってからアカペラサークルに所属し、本格的にアカペラ活動を始めたのですが、当時の私は裏声がまったく出せず、地声もF#4付近が限界で、音域が非常に狭い状態でした。

それでも何とか歌いたい一心で無理な発声を続けた結果、何度も喉を痛めるようになります。さらに症状は悪化し、ある時には最低音からわずか3半音程度しか発声できない状態にまで陥ってしまいました。

病院で診察を受けた際には、医師から
「これ以上今の歌い方を続けていたら、一生歌えなくなるよ」
と告げられました。

歌うことが大好きだった私にとって、その言葉は大きな衝撃でした。

「このまま一生、声が元に戻らなかったら……。」
暗い病院の待合室で、絶望と不安に打ちのめされたのを覚えています。

そんな危機感から、発声について徹底的に学び始めました。

ボイストレーニングのメソッドはもちろん、解剖学や音声学についても学びながら試行錯誤を重ねた結果、少しずつ発声は改善。やがて自分自身の声の悩みも解消され、再び心から歌を楽しめるようになりました。

私にとって、それは人生が変わるほど大きな出来事でした。

だからこそ、
「同じように声で悩んでいる人の力になりたい」
そう考えるようになり、発声指導の道へ進みました。

今でこそ、歌声・話し声を問わず、さまざまな方への発声指導を行っていますが、最初に指導を始めたのは、自分自身が長年活動してきたアカペラの世界です。

それから約20年にわたり、アカペラ業界への発声指導を継続し、これまで全国70以上のアカペラ団体に向けて発声指導を行ってきました。

アカペラは楽器を使わず、自分の声だけで音楽を表現するため、発声の良し悪しが演奏の質に大きく影響します。また、長時間の練習や本番でも声を安定して使い続ける必要があるため、効率的で喉に負担の少ない発声技術が求められます。

そうした発声についてシビアな環境の中で長年指導を続ける中で、ご縁をいただき、これまで培ってきた発声指導の経験を評価していただいたことから、このたびアカペラ教則本の発声部門を執筆させていただくことになりました。

本書で担当した内容

今回私が担当したのは、本書の「発声部門」です。

内容としては、私が20年以上の発声指導の中で実際によく受ける質問をもとに、Q&A形式で発声の仕組みや改善方法を解説しています。

発声に関する情報の中には、

「喉を開く」
「お腹から声を出す」
「響きを前に飛ばす」

といった感覚的な表現も数多くあります。

もちろんそうした表現が役立つこともありますが、本書ではできるだけ解剖学や音声学の視点から、

「なぜそうなるのか」
「どうすれば改善できるのか」

を説明することを心がけました。

具体的には、

  • 効率よく声を立ち上げるウォーミングアップ
  • キンキンした声を改善するには?
  • 裏声っぽく聞こえる声を改善するには?
  • 息漏れ声を改善するには?
  • 喉の締まりを改善するには?
  • 声のこもりを改善するには?
  • ロングトーンを安定させるには?
  • 合唱っぽい歌い方を改善するには?
  • 暗い声を改善するには?
  • 通る声を作るには?
  • 地声と裏声をつなげるには?
  • 高音域を伸ばすには?

といったテーマについて解説しています。

これらはアカペラプレイヤーに限らず、歌声や話し声の改善を目指す方にも共通する悩みです。

実際に、私が普段のレッスンでお伝えしている内容とも重なる部分が多く、本書には長年の指導経験の中で培ってきた発声に対する考え方を凝縮しました。

最後に

今回執筆した書籍は、2026年6月23日にリットーミュージックより発売されます。

私が担当した発声部門については、歌声や話し声の改善にも応用できる内容を数多く盛り込んでいます。

発声に興味のある方はもちろん、声の仕組みや効率的な声の出し方について学びたい方にも、ぜひ手に取っていただければ嬉しく思います。

私自身は今でも、「発声は才能ではなく技術である」と考えています。

もちろん、生まれ持った声質や骨格の違いはあります。しかし、多くの方が抱えている声の悩みは、声の病気によるものでない限り、正しい知識と適切なトレーニングによって改善できる可能性があります。

実際に私自身も、かつては裏声が出ず、喉を壊し、「このままでは一生歌えなくなるかもしれない」と言われた経験があります。

だからこそ、声が出ない苦しさや、思うように歌えないもどかしさもよく分かります。

今回の執筆では、そうした自身の経験と20年以上にわたる発声指導の中で培ってきた知識や考え方を、できる限り分かりやすくお伝えすることを心がけました。

この本がアカペラを楽しむ方々のお役に立つことはもちろん、この記事を読んでくださっている皆さまにとっても、声について考えるきっかけになれば嬉しく思います。

そしてこれからも、ブログやレッスンを通じて、一人でも多くの方の「声の悩み」を解決するお手伝いを続けていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

書籍の詳細はこちら

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