伊藤 俊輔
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キーの高い曲を地声で歌おうとすると、
- のどが締まって苦しくなる
- 声が裏返ってしまう
- 裏声混じりの弱々しい声になる
こんなお悩みはありませんか?
低音域の声の出し方のまま、地声で高音を出そうとすると、このような問題が生じます。
しかし、正しい高音域の出し方を身につけることで、これらの問題を回避しつつ、かなり高い音まで地声で歌えるようになります。
そこで、この記事では、地声のまま高音を出す方法について解説します。
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1.そもそも地声とは?
本題に入る前に、この記事における地声とはどのような声なのか確認しておきましょう。
というのも、ボイストレーナーによって地声の定義は様々で、そのことが生徒を混乱させる原因の一つとなっているからです。
例えば、「地のままの声」という意味で地声と言う先生もいれば、「歌声ではない声」という意味で地声と言う先生もいます。
ボイストレーナーから指導を受けるときは、どのような意味で地声という言葉を使っているのか、あらかじめ確認しておくことがとても重要です。
さて、この記事では地声という言葉を、声帯の使い方の違いに着目して使います。
以下、詳しく説明していきます。
のどの中には、声帯という向かい合う2枚のひだがあり、呼吸時には開き、発声時には閉じています。
そして、この閉じた声帯の間を息が通ることで、声帯が振動し、声が作られます。
地声を出すときは、声帯を閉じる筋肉が中心となって働くため、声帯がしっかりと閉じ、声帯自体も分厚く、短くなります。
その結果、強く太い声色となりますが、声の高さは裏声よりも低くなります。
それに対して、裏声を出すときは、声帯を引き伸ばす筋肉が中心となって働くため、声帯の閉鎖は弱まり、声帯自体は薄く、長くなります。
その結果、弱く細い声色となりますが、地声よりも高い声を出すことができるのです。
声を出すときは、声帯を閉じる筋肉と声帯を引き伸ばす筋肉が連動して働きます。
そしてこの記事では、その連動の中で、声帯を閉じる筋肉が優勢に働いた声を「地声」と定義しています。
※そもそも地声の出し方がわからないという方は、【チェストボイス】誰でも力強い地声で歌える3つのコツ!!をご覧ください。
2.地声で高音を出す方法は2種類ある!
地声で高音を出すには、2つの方法があります。
1つ目は、声の出し方を工夫しながら、地声の音域を広げる方法。
そして2つ目は、地声と裏声をつなげ、それを強化し、地声感を高めていく方法です。
こちらは地声と裏声を混ぜるという意味で、「ミックスボイス」と言われています。
2-1.地声の音域を広げた声の特徴
声の出し方を工夫しながら地声の音域を広げた場合でも、かなり高い音まで太さを維持して発声することができます。
ただし、声帯を閉じる筋肉がかなり優位に働いているため、ある程度の高さで限界がきます(個人差はありますが、男性では高いラの音(A4)付近、女性では高いレの音(D5)付近)。
この声の出し方をよく使う歌手としては、玉置浩二さんやSuperflyさんが挙げられます。
非常に太くパワフルな声が印象的です。
玉置浩二さん(2分50秒付近)
Superflyさん(0分25秒から)
2-2.地声と裏声をつなげて強化した声(ミックスボイス)の特徴
それに対して、地声と裏声をつなげて強化したミックスボイスは、地声の音域を広げた場合よりも高い声を出すことができます。
ただし、地声と裏声の中間的な声であるため、地声よりも柔らかな声色になったり、声を強くみせるために、声色が鋭くなります。
柔らかな声色としては平井堅さん、鋭い声色としてはONE OK ROCKのTakaさんが典型例として挙げられます。
平井堅さん
ONE OK ROCKのtakaさん
2-3.どちらの出し方が正しいのか?
2つの声の出し方のうち、どちらの出し方が正しいということはありません。
大切なのは、歌いたい曲で求められる声色によって、声の出し方を自在に選択できることです。
例えば、そこまで高い声は求められないが、声の太さや力強さが求められる曲では、地声のまま音域を広げた発声が合います。
一方、とにかくハイトーンが求められる曲では、ミックスボイスが合うでしょう。
また、一方の声の出し方を習得すると、他方の声の出し方にもよい影響が及びます。
地声のまま音域を広げた出し方が身につくと、声量を上げる身体の使い方が身につき、ミックスボイスが強くなります。
反対に、ミックスボイスの練習をすれば、声帯を引きのばす筋肉が働きやすくなり、地声のまま音域を広げた出し方が楽になってくるのです。
このような相乗効果が得られることから、どちらの声の出し方にも練習する価値があると言えます。
両方の出し方ができると、歌い方に幅も生まれます。
ぜひ2つの高い声の出し方にチャレンジしてみてください。
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3.地声のまま高音を出す方法
この記事では、タイトルの通り、地声のまま音域を広げる方法を3つのステップに分けて解説します。
※地声と裏声をつなげる方法については、地声と裏声をスムーズにつなげる3つの手順をご覧ください。
また、つながった地声と裏声を強化する方法については、今後、別の記事で解説したいと思います。
3-1.まずは地声が出しづらくなる音を知ろう
低音域での声の出し方のまま、1音1音、音を上げていくと、録音のように声が出しづらくなる音があります。
のどが締まるパターン
裏声っぽくなるパターン
鍵盤を使い、自分はどの音で地声が出しづらくなるのか調べてみましょう。
個人差はありますが、男性では少し高めのレ(D4)付近、女性では少し高めのファ(F4)付近で、のどが締まったり、裏声っぽくなったりします。
この音よりも高音をきれいな地声で出すには、息の使い方や声の響かせ方に工夫が必要となります。
3-2.息の圧力を高める
声の高さは、1秒間における声帯の振動数で決まり、声帯の振動数が多いほど音が高くなります。
例えば、中央付近のラの音(440ヘルツ)では、1秒間に声帯が440回振動し、その1オクターブ高いラの音(880ヘルツ)では、1秒間に880回振動します。
高い地声を出すときは声帯の緊張が高まるため、強く緊張した声帯を低音域よりも素早く振動させるために、それだけ息の圧力を高める必要があります。
音が高くなるにつれて、少しずつ息の圧力を高めていくことが大切です。
息の圧力を高めるには、腹部の筋肉を使います。
腹部の筋肉の使い方は、風船を膨らませる練習をすることで、感覚的に理解することができるでしょう。ぜひお試しください。
3-3.口の開け具合を調整する
息の圧力を高めたとしても、低音域の口の開け方のままだと、のどがだんだん締まってきます。
しかし、口の開け具合を調整し、声の響かせ方を工夫することで、のどの締まりを回避することができます。
口の開き方は、大きければ大きいほど良いわけではなく、その音の高さに適した開き具合があります。
音が高くなるにつれて、少しずつ口の開きを大きくしていきます。
口先だけではなく、口の中の空間も含めて、口の開け具合を調整してみてください。
3-4.地声で高音を出すときの注意点
地声で高音を出す練習は、他の練習に比べて、のどを壊すリスクが高いと言えます。
なぜなら、強く閉じた声帯に、強い息を当てることになるからです。
もちろん、やり方が正しければ問題はありません。
しかし、やり方を間違えたまま練習を続けると、取り返しのつかないほどにのどを壊してしまう可能性もあります。
実際、ボイストレーニングを学ぶ前の私は、無理に高音を出そうとし続けたために、たびたびのどを壊し、医師から「今の声の出し方を続けていれば、いずれ声が出なくなってしまうよ」と警告された経験があります。
声に響きがあまりなく、怒鳴るような声になっている場合は、練習のやり方が間違っている可能性が高いと考えてください。
また、のどに違和感や痛みを感じる場合には、すぐに練習を中断し、発声の仕方を見直してください。
どうしても上手く発声できない場合は、発声の仕方のどこに問題があるのか、信頼のおけるボイストレーナーに判断してもらうことを強くおすすめします。
4.まとめ
- 地声で高音を出す方法は2種類ある
- 地声のまま音域を広げると、太い音色のままかなり高い音まで発声することができる
- 息の圧力と口の開け方を調整すれば、地声の音域を広げることができる
- のどに違和感や痛みを感じたらすぐに練習を中断し、発声の仕方を見直す
高い声の出し方が自分ではよくわからないという場合は、プロのボイストレーナーにアドバイスをもらうのも有効です。
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