弱々しい裏声を芯のある裏声に鍛える5つの手順

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伊藤 俊輔

京都大学法学部卒。解剖学・音声学等の科学的根拠に基づいた論理的な指導が支持され、これまで70を超える企業・大学・団体に対し、ボイストレーニング講座を実施。受講者は3,000人を超える。

あなたは、カラオケなどで歌うとき、

『裏声になると急に弱々しくなって迫力が出ない』

と悩んだことはありませんか?

芯のある力強い裏声を出すことができると、歌える曲の幅が格段に広がるのですが、特に男性の場合は、普段裏声を使う機会が少ないため、裏声になると急に弱々しくなって歌に使えないという方が多いようです。

しかし、これから説明するトレーニングを実践すれば、男女問わず、芯のある裏声を出すことができるようになります。誰でも簡単にできる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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目次

1.裏声を鍛えるメリット

裏声を鍛えるトレーニングに入る前に、まずは、裏声を鍛えるメリットについて解説していきます。メリットを知るとモチベーションが上がり、トレーニングを継続しやすくなります。

1-1.使える音域が広がる

裏声が歌に使えるようになると、それだけで使える音域がおよそ1オクターブも広がり、歌える曲が格段に増えます。また、地声で無理に高い曲を歌うと、のどを痛める原因になりますが、裏声を使えば楽に歌えるようになるため、のどを痛めることが少なくなります。

1-2.正しい音で歌えるようになる

音を外しているのは分かるが、イメージ通りの音を発声することができないという場合は、裏声のトレーニングをすることで、改善することができます。

音の高さは、声帯を引き伸ばす筋肉の働きで決まります。この声帯を引き伸ばす筋肉が上手く機能しない場合、イメージ通りの音を発声することが難しくなります。この筋肉は裏声を出すときに主に働く筋肉なので、裏声のトレーニングをすることで、効率良く鍛えることができます。

裏声のトレーニングで、この筋肉が上手く働くようになれば、イメージ通りの音を発声することができるようになります。

※正しい音で歌えない原因は他にも考えられます。詳しくは【音痴克服】正しい音で歌えない3つの原因と今すぐできる対処法をご覧ください。

1-3.ミックスボイスの習得に役立つ

裏声でしか出せないような高い音域を地声のように力強い声で発声するには、地声と裏声の中間的な声であるミックスボイスというテクニックが必要になります。このミックスボイスを上手く使いこなすためには、裏声も地声と同程度の強さを持つことが前提条件です。したがって、裏声を鍛えることは、ミックスボイスを習得するためにも非常に重要になります。

※詳しくは1オクターブ高い声だって楽に出せるミックスボイスとはをご覧ください。

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2.裏声を鍛える5つの手順

それでは、裏声を鍛える手順について、具体的に解説していきます。

2-1.『息漏れの多い裏声』で裏声の筋肉を鍛える

裏声を出すときに主体となって働く、声帯を引き伸ばす筋肉を鍛えることで、ふわふわとしていた裏声が次第に安定していきます。この筋肉は、『息漏れの多い裏声』を練習することで、効率的に鍛えることができます。

まずは私の録音をお聞きください。

このような声を出す練習をすることで、裏声の筋肉をダイレクトに鍛えることができます。

出し方がよく分からないという方は、【ファルセット】誰でも簡単!綺麗な裏声を出す7つのコツ!にポイントをまとめておりますので、あわせてご覧ください。

2-2.『息漏れのない裏声』を作る

『息もれの多い裏声』を安定して出せるようになったら、次は『息漏れのない裏声』を作っていきます。息漏れを減らしていくことで、弱々しかった裏声が徐々に芯のある裏声へと変化していきます。

2-2-1.スタッカートで『息もれのない裏声』を作る

スタッカートをかけて発声すると、声帯が閉じやすくなるため、無理なく息漏れを減らしていくことができます。

次の録音のように、『ホッホッホ』と切れよくスタッカートをかけて裏声を発声してみましょう。

2-2-2.スタッカートの延長で『息もれのない裏声』を伸ばす

スタッカートで芯のある裏声が出せるようになったら、次はその延長で、声を伸ばしてみましょう。最初は声を伸ばすと、息が漏れてしまうかもしれませんが、練習を継続すれば、声を伸ばしても息漏れを減らすことができるようになります。

次の録音のように、『ホッホッホー』と裏声を発声してみましょう。

2-2-3.『息もれのない裏声』をロングトーンで発声する

スタッカートの延長で声を伸ばすことができるようになったら、次は最初から声を伸ばして発声してみましょう。

次の録音のように、『ホー』と裏声で発声してみてください。

2-3.裏声の音域を下に広げる

『息漏れのない裏声』を安定して出せるようになったら、その裏声の音域を下に広げていきます。裏声の音域を下に広げていくことで、裏声をさらに鍛えることができます。

弱々しくて裏声が歌に使えない場合、地声と裏声の音域は、以下のようになっています。

裏声が弱い場合の音域

裏声は音が低くなるほど、弱々しくなる傾向にあります。このような状態ですと、地声と裏声の境目の音量差が大きくなりすぎるため、地声から裏声にすると、『急に弱々しくなってしまった』と感じるのです。

裏声を下げる練習をすれば、裏声の音域を下に広げることができます。そして、練習次第で、裏声の音域は、地声の最低音付近まで広げることが可能です。

裏声の音域を下に広げると、弱い音域がどんどん下へ下がっていき、もともと弱かった音域が次第に強くなっていきます。

裏声の音域を下に広げた場合

このように音域を広げると、地声と裏声の境目における音量差が小さくなり、『急に弱々しくなってしまった』とは感じなくなります。

2-4.裏声だけで歌う練習をする

ここまでの練習で裏声がある程度強くなったら、さらに裏声を鍛えるために、裏声だけで歌う練習をしてみましょう。本来地声で歌うべき音域を裏声で歌うことで、低音域の裏声がさらに鍛えられていきます。

また、お手本がないと練習しづらいという場合には、もともと裏声だけで歌う曲を練習してもよいでしょう。例えば、カウンターテナー歌手の米良美一さんの『もののけ姫』という曲は、男女問わず、とても良い課題曲になると思います。

2-5.地声と裏声を切り替える練習をする

裏声が十分に強くなったら、最後に歌に使うための練習をします。地声から裏声へ声を裏返すときに、スカスカな裏声になってしまったり、音がブレてしまうケースがあります。

次の録音のように地声と裏声を切り替える練習を繰り返すことで、歌の中でも上手く切り替えることができるようになっていきます。

まずは、ゆっくりとしたテンポで始め、慣れてきたら少しずつ早く切り替えられるようにしていきましょう。

※地声と裏声を切り替えるのではなく、スムーズに繋げて歌う方法もあります。詳しくは地声と裏声をスムーズに繋げる3つの手順をご覧ください。

3.まとめ

3-1.裏声を鍛えるメリット

  • 使える音域がおよそ1オクターブ広がる
  • 裏声の筋肉を鍛えることで正しい音で歌えるようになる
  • ミックスボイスの習得に役立つ

3-2.裏声を鍛える5つの手順

  • 『息漏れの多い裏声』で裏声の筋肉を鍛える
  • スタッカートで『息漏れのない裏声』を作る
  • 裏声の音域を下に広げて、地声と裏声の境目の音量差を減らす
  • 裏声だけで歌う練習でさらに裏声を強化する
  • 裏返す練習で歌に使える裏声にする

芯のある力強い裏声の出し方が自分ではよくわからないという場合は、プロのボイストレーナーにアドバイスをもらうのも有効です。

LogiVoの体験レッスンでは、あなたの声を解剖学・音声学等の科学的知見に基づいて診断し、具体的な解決方法をご提案しています。ぜひ一度、詳細をチェックしてみてください。

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